厚生労働省の「令和7年度雇用均等基本調査」で、男性の育児休業取得率が50.9%となり、初めて5割を超えました。前回調査の40.5%から10ポイント以上の大幅な上昇で、テレビや新聞でも大きく報じられています。「男性が育休を取るのは当たり前」という時代が、数字の上でも現実になりつつあります。
一方で、中小企業からは「代わりの人がいない」「何から準備すればよいかわからない」という声も多く聞かれます。本記事では、調査結果のポイントと今後の制度見直しの動き、企業が今から取り組みたい対応を、厚生労働省の公表資料に基づいて解説します。
1. 改正の背景と企業への影響
男性の育休取得が急速に進んだ背景には、産後パパ育休(出生時育児休業)の創設や、妊娠・出産を申し出た従業員への個別の制度周知・意向確認の義務化など、ここ数年の法改正があります。2025年4月からは、男性の育休取得率等の公表義務も、従業員1,000人超の企業から300人超の企業に広がりました。
取得率が5割を超えたことで、求職者が「育休を取りやすい会社かどうか」を企業選びの基準にする傾向は一層強まると考えられます。中小企業にとっても、育休への対応は採用や定着を左右する経営課題になっています。
2. 調査結果のポイント
① 男性の取得率は50.9%、女性は88.3%
男性の取得率は前回の40.5%から50.9%へ上昇しました。女性も86.6%から88.3%へ上がっています。対象は、2023年10月から2024年9月までに本人または配偶者が出産した従業員です。
② 取得期間は「1か月〜3か月未満」が最多
男性の取得期間は「1か月〜3か月未満」が30.3%で最も多く、「2週間〜1か月未満」の28.0%が続きます。2週間〜3か月未満で約6割を占めており、数日だけの「とるだけ育休」から、一定期間しっかり休むスタイルへの変化がうかがえます。
3. 主な調査結果一覧(表)
| 項目 | 令和7年度 | 前回(令和6年度) |
|---|---|---|
| 男性の育児休業取得率 | 50.9% | 40.5% |
| 女性の育児休業取得率 | 88.3% | 86.6% |
| 女性管理職割合(課長相当職) | 13.2% | 12.3% |
| 女性管理職割合(部長相当職) | 9.2% | 8.7% |
| 女性正社員に占める総合職の割合 | 41.0%(初めて一般職を上回る) | 37.5% |
なお、10月2日に開かれた労働政策審議会の分科会では、くるみん認定の男性育休取得率の基準の引上げや、取得期間に関する基準の導入、1,000人超の企業に取得期間の公表を求めることなどが、今後の検討項目として示されました。いずれも現時点では検討段階です。
4. 実務対応の流れ
① 自社の取得状況を把握する
・過去数年の対象者数と取得者数、取得日数を集計し、自社の取得率を確認します。
② 個別周知・意向確認を確実に行う
・妊娠・出産(配偶者を含む)の申出があった従業員に、制度の説明と取得意向の確認を行います。
・面談記録や説明資料を残し、対応の抜け漏れを防ぎます。
③ 業務の引継ぎ体制を整える
・業務の見える化やマニュアル化を進め、特定の人に仕事が集中しない体制をつくります。
・1か月以上の取得も想定し、代替要員の確保や業務分担を早めに検討します。
④ 規程の整備と情報発信
・育児・介護休業規程が最新の法改正に対応しているか確認します。
・300人超の企業は取得率等の公表義務に対応し、それ以外の企業も採用ページ等での発信を検討します。
5. まとめ
・男性の育休取得率は50.9%で初の5割超え、取得期間は1〜3か月未満が最多
・くるみん基準の引上げや取得期間の公表など、さらなる見直しが検討中
・個別周知・意向確認と引継ぎ体制づくりが、中小企業の実務のカギ
「男性社員から育休の申出があったがどう対応すればよいか」といったご相談も承っています。お気軽にお問い合わせください。
筆者紹介
東京丸の内社会保険労務士法人
全国対応・助成金特化の社労士事務所として、年間多数の申請支援を行っています。
はじめての助成金も、制度の選び方から丁寧にサポート中。
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【出典】厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」結果、第92回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料(2026年10月2日)、厚生労働省「2025年4月から、男性労働者の育児休業取得率等の公表が従業員が300人超1,000人以下の企業にも義務化されます」



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